数年前にその外観を見て素晴らしい格式のある温泉宿だと思い、いつかは泊まってみたいと思っていた会津東山温泉「向瀧」さんに宿泊してきました!
本当に美しい「雪景色」と最高の「おもてなし」がここにはあり、これは誰にでも薦めたくなる温泉宿です。
格式があり歴史を感じる外観
訪れたのは2015年2月15日(日)。この日の会津地方は降り続く雪で路面にはかなりの雪がつもり南会津の温泉巡りを日中は計画していましたが、凍結しているところもあり旅行中に事故にあっても嫌だなと思い中止に。少し早めに宿に向かう事になりました。
時間にして14時を少し過ぎた頃に向瀧さんに到着。
チェックインは15時からなのでまだ1時間近くあります。
宿の前に車を停めるとすぐに中から人が出てきて、「お疲れ様でした。宿泊のお客様でしょうか?」と声をかけて頂きました。
雪で観光をやめて早めに来た事、チェックインは15時からなので部屋には入れない事は解っているので、どこか宿の中で休ませてくれないか?という事をお願いしたら、快く受けてくれました。と思ったらすぐに部屋を用意してくださり、部屋に案内してくれました。こういう心遣いは嬉しいものですね。
雪でよく解りませんが玄関の右横に「登録有形文化財」の記念碑がたっています。
以前来たのは桜がそろそろ終わる時期で外観を見ただけでしたが、雪が積もるとまた違う趣きがありますね。前回見にきた時の写真は下記になります。
今回は冬の宿泊でしたが、桜の時期、紅葉の時期にも泊まりたい!と思わせてくれる温泉宿です。
夜景も素晴らしい向瀧の外観
日中と夜とでは全然違う景色に見えますよ!でも、両方共向瀧の素晴らしさは伝わってくると思います。
フロントから部屋までの廊下が凄い!
フロントを過ぎてすぐにお土産コーナーがあります。ごちゃごちゃしておらず見やすいのが良いですね。
その先に進んでいくとJR東日本で使われていたポスターがありました。このポスターは記憶にあります。
登録有形文化財に指定されるほど歴史のある宿で古いのですが、掃除が行き渡っているのがよく解ります。
夜の廊下もまた美しいです。暗くなって電灯の反射がよりピカピカである事を強調してくれていました。
ただ、古い建物の為エレベーターはなく、結構階段が多い宿なので、一番奥の斜面にある客室だと少し大変かもしれません。今回、僕が泊まった部屋は中央にある部屋で2階なので別に気になりませんでしたが、奥にある部屋で足腰の悪い方だと大変だと思いますので、不安のある方は出来るだけ手前の部屋を予約した方が良いと思います。
宿泊した明治時代に建てられた建物の部屋
部屋の広さは8畳ですが、広縁があったり床の間があったりして広く感じます。明治時代からあった建物という事で歴史を感じられる部屋となっていました。
上2枚の写真を見るとポットが2つあるのが解ると思いますが、1つが冷水が入っており、もう1つが温かいお茶を入れるためのものとなっています。
テレビが20インチくらいかな?今時の宿は32インチ以上のテレビが多い中、小さい20型を置いているのは、せっかくの旅行なのだからテレビばかり見ないで温泉と景色、そして食事と一緒に行った人との会話を優先して欲しいという心遣いなのかな?と思いました。
広縁にトイレもあります。トイレは洋式できちんとシャワートイレとなっていました。
裁縫道具まで置かれていました。今時珍しいと思いませんか?こういうところが老舗旅館であり高級旅館と言われる所以なのかもしれません。
お茶碗も古伊万里のようです。
お茶うけのお菓子は自家製
お茶碗も柄が違いました。桜と紅葉。
羊羹は甘すぎずさっぱりとした味わいで非常に美味しかったです。
第一浴場 さるの湯
部屋について落ち着いたらお風呂です。向瀧さんには2つの浴場と3つの貸切風呂があります。すべて内湯で露天風呂はありません。でも、素晴らしい湯質であり落ち着いて入るのに露天風呂は必須では無いというのがよく解る宿だと思います。
最初に向かったのは第一浴場の「さるの湯」
宿の中のお風呂でも一番奥にあります。
なお、向瀧さんの部屋にはバスタオルが置かれていません。バスタオルは各浴室の脱衣所に置かれているので持っていく必要性はありません。何枚でも使えます。こういうサービスは良いですね!何度も入っているとバスタオルが濡れてきて替えたくなりますから。
10人くらいは入れる広さとなっています。窓が大きくとられているので、閉塞感はありません。
顔の無い美女?のレリーフ。女湯にはこういうレリーフは無いという事で、男性用に置かれているのですかね(笑)
この「さるの湯」が向瀧さんで唯一シャワーのある浴場となっているので、身体をあらったり頭を洗ったりするのならこことなります。
お湯の温度は42~43度くらいだったかな。少し熱めでした。
ここには2回入りました。
第二浴場 きつねの湯
今までは一番お湯が熱かった「きつねの湯」ですが最近源泉の温度が下がったという事で、今は40~42度くらいという事で冬場ならちょうど良い温度となっています。
脱衣所もシンプルです。昔の銭湯のような感じがします。そして中に入ると中央に湯船が鎮座しています。
湯口に温泉成分が大きく張り付いているのが解ります。
天井にはこんなレリーフがありました。「さるの湯」以外の浴室の天井にはすべてレリーフがついているので、それを見るのも面白いです。
この「きつねの湯」が今の向瀧さんでは一番ぬるいお湯になっているので、長湯をするのには最適でした。ここにも2回入りました。
貸切風呂は空いていればいつでもOK 3つの浴室
ここには3つの貸切風呂があり、空いていればいつでも入る事が出来ます。
「蔦」「瓢」「鈴」という3つの貸切風呂があります。
貸切風呂「蔦」
ガラスはすりガラスになっているので、気になる方は奥で着替えれば見えません。
2人だとちょっとキツメかもしれませんが1人なら十分な広さです。
貸切風呂「瓢」(ひさご)
瓢と書いて「ひさご」と読みます。
ひさごは「ひょうたん」の「ひょう」の部分である事から瓢箪を意味する事が多いので、天井のレリーフも瓢箪となっていました。
貸切風呂「鈴」
一番奥にある「鈴」
天井のレリーフも「鈴」になっています。
それぞれの貸切露天風呂は水も入れやすくなっているので熱ければ自分で水を入れてぬるくして入る事も出来ます。自分好みの温度にして入る事が出来るのは良いですね。でも、せっかくの源泉掛け流しなので出来れば源泉のまま楽しみたいものです。
日曜日の夜に宿泊していましたが、ほぼどれかは空いていてすぐに入る事が出来ました。土曜日とかだとまた混むのかもしれませんが。
予約をしなくてもすぐに入れるのは良いですね。入る時は内側から鍵をかけて入る事になります。
向瀧の温泉 泉質
向瀧さんの温泉はすべて自然湧出の源泉掛け流し。加水も加温もしていません。それだけに温泉の鮮度もよく最高のお湯となっています。
そうは言っても中性に近い弱アルカリ性の泉質は肌にも優しい温泉です。もちろん、温泉の合う合わないは個人差もあるのですが、多くの人に適した温泉となっていると言えます。
素晴らしい景色の中庭
向瀧さんの素晴らしいのは温泉だけではありません。中庭の景色も物凄く綺麗です。
雪のない季節はこの庭に出る事が出来るそうですが、雪の季節は安全のため出れないようになっています。斜面になっているため滑って転ぶと危険ですからね。
この景色は夜になるとまったく違う景色を見せてくれます。
絶景の夜の中庭 雪見ろうそく
今回、冬に泊まったのは理由があります。向瀧さんのサイトで見た雪見ろうそくの景色を見て、これは自分の目で見てみたい!!!と思ったからです。
本当に素晴らしい景色でした。
冬の間、ほぼ毎日行われますがその年の雪の量や天候によって期間は左右されます。ただし吹雪や雨でも積雪があれば実施するそうです。積雪が無いと竹筒を雪に差し込む事が出来ないため出来ないため中止となります。
上記はまだ時間が速い時に撮影したものです。
17時から18時30分くらいまで実施されますので、2月中旬になると18時近くにならないと暗くなりませんので18時ちょっと前からが見頃となります。
本当に美しい光景で、見惚れてしまいます。1本1本宿の方がロウソクを灯していきます。また少しでも綺麗に見えるように雪の斜面を固めていかれています。
これを見終わった後は食事です。
部屋食で味わう夕食
夕食は部屋食となります。
ここに泊まる2日前に電話があり、予約の最終確認を実施されています。その際に夕食のメニューを説明してくれて、食べられないものが無いか確認をしてくれます。
ここの料理と言えば鯉が有名なのですが、僕も妻も鯉はそれほど好きでは無いため、別のものにとお願いをしておきました。
食前酒は甘酒でした。食前酒に甘酒を出してもらったのは初めて。
これが美味しかった!食前酒に甘酒も合いますね。
通常は「鯉のあらい」になるのですが、鯉料理はキャンセルしていたので、湯葉刺しとなりました。これは口の中でとろけて湯葉の風味に包まれ非常に美味しかった!もっと食べたかった(^_^;)
そして本来なら「鯉の甘煮」ですが、こちらは「棒たら」に変更。
棒タラも会津の郷土料理の1つです。東北地方の山間部では新鮮な魚が昔は手に入らなかったので乾物である棒タラが郷土料理になったと思います。
これも美味しかったですよ。これは残ったら真空パックにしてお土産にもたせてくれます。僕は全部食べたけど、妻が残した分は真空パックにしてもらいました。常温でもしばらくは保存が出来るそうなので、安心して持ち帰れます。
にしんの山椒漬け 東北では割りとおなじみの料理です。身欠きニシンを山椒で付けたものかな。身欠きニシンも海の遠い内陸部でよく食べられた魚料理です。
会津地鶏のあぶり汁
体内燃焼 ごんぼ汁
白味噌の汁の中に揚げたゴボウを入れていただくものです。これが今回のお気に入り。
会津の郷土料理 こづゆ
いろいろな野菜とお麩が煮込まれたものです。さっぱりとした煮物です。
人参ソースの雪山ボッコ芋
人参のソースを揚げた山芋にかけていただきます。表面はサクサクした食感のお芋が美味しかったです。
お漬物(香の物)とお味噌汁と会津のこしひかり
デザートはシルバーベルのジュレ掛け ジュレはレモン風味。シルバーベルとは洋梨です。これも美味しかったな。福島から山形にかけて洋梨は名産品となっています。
そうそう、箸置きは「カジカ」を象ったものが使われており、口の中に爪楊枝が入っているのですが、爪楊枝の先にミントが塗られています。これでシーハーするとミントの香りが口に広がりさっぱりします。
今回は地元の白ワインを頂きました。これも美味しかったですよ。
朝食も部屋食
朝食も部屋食でいただきました。
ただ、個人的な見解ですが朝食だけは会場・食事処でいただきたいというのが本音です。というのも、食事をした後に少し横になりたいと思う時があるので、部屋食で食事をするため、朝食の前に布団を片付けられるため、食後に少し横になりたい時になれないというのは少し残念かなと思います。
でも、その分しっかり起きないといけないので、健康的ではありますね。
味噌汁が鍋で加熱されており、熱々の味噌汁を飲む事が出来ます。
デザートのそば茶ぷりんも美味しく頂きました。
接客・おもてなし
ここ向瀧さんは料理も部屋も温泉も雰囲気・情緒も素晴らしい温泉宿ですが、それだけではありませんでした。
何よりも接客が素晴らしい!
宿の前につくとすぐに出てきて荷物を運んでくれますし、帰りも運んでくれます。
また、布団敷き係の方までもがきちんとしっかりとした接客をしてくれます。
また中居さんは若くて可愛い娘でしたが、笑顔が自然で素敵でした。温泉宿らしい苗字(漢字は違いますが音が温泉宿っぽい苗字でした。実名は書かない方が良いと思うので省略します)の方でした。
きちんと夕食・朝食を同じ中居さんが対応してくれるので、お願いしておいた事もきちんと対応してくれます。
番頭さんもしっかりした方で最後に記念写真をお願いすると撮影ポイントまでしっかりと説明してくれて撮影してくれました。
こういう宿ならまた泊まりたい!と思います。高級旅館・老舗旅館と言われる向瀧さんですが、こういう接客も高級旅館・老舗旅館に恥じないところだと言えます。
きちんと教育にも力を入れているところが解りますよ。
宿泊費は今回1人ワインも含めて18000円ほどでしたが、価格以上の価値ある温泉宿でした。
雑記 向瀧に関連した漫画
ここ向瀧さんの外観は漫画「湯けむりスナイパー」という漫画でも使われています。元殺し屋が殺し屋稼業に疲れて、東北の秘湯宿で働くという物語の漫画ですが、その漫画で殺し屋だった主人公が働く温泉宿の外観がここ向瀧さんをモデルにしています。別のブログですが簡単に説明していますので、よければ見て下さい。
人間ドラマが描かれている温泉宿が舞台の漫画!「湯けむりスナイパー」 – だから漫画はやめられない
番頭さんに話を振ったらご存知でした(笑)
きちんとチェックされているんですね。番頭さんは湯けむりスナイパーの主人公のようにダンディな方でした。
不満なところ
不満なところは?と聞かれれば特にありません。
でも強いてあげれば枕かな。
温泉宿に泊まるというのは温泉と食事とその雰囲気・情緒・風景を味わうものだと僕は思っています。そして温泉に入りゆったりとして眠りにつく。これこそが温泉宿に求めるものです。恐らく向瀧さんもそれを目指していると思います。
その中で最後の眠り・睡眠に関しては少しだけ改良の余地があるのかな?と。
布団は好みがあるのですが、これにコストをかける事は難しいと思うのですが、枕だとそれほどコストには繋がらないと思います。睡眠は枕にかなり左右されるので、枕を選べるサービスを提供してくれれば良いな~って思いました。
そば殻の枕で僕は好きなのですが、人によってはもっと柔らかい枕が好きな人もいるでしょう。そんなにコストをかけずに枕なら用意も出来ると思うので枕も選べるようにしてくれれば良いな~とは思いました。
基本情報
- 施設名 会津東山温泉 向瀧
- 住所 〒965-0814 福島県会津若松市東山町大字湯本川向200
- 電話番号 0242-27-7501
- 日帰り入浴 不可
- お風呂 男女別内湯・貸切風呂
- 訪問日時 2015年2月15日
- ph 7.7
- お湯の色 無色透明
- 泉質 ナトリウム・カルシュウムー硫酸塩・塩化物泉
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